今日はですね、写真という二次元の動かない物の観点から、
演技という人間が行う三次元の動き、
特にリアリズムについてです。
ある写真展で高校生の人物を映した写真が大賞を とったんですね。 どういう作品だったかというと、
町の普通の人達を撮らえた作品で、
とにかく映っている人の表情がいい。
みんな笑顔とか綺麗とかじゃなくて、 その時々の顔がすごくいい。
と、写真をみせればいいんですけど、
朝の番組でちょっと紹介しただけだったので、
どこの誰だかもわからず消えてしまって。
でも、映し出された写真の中の人達の顔は 本当にいい顔をしてました。
審査員曰く、 「とにかく自然な表情がいい」。 で、凄いのは、
その高校生カメラマンは、 そのコツを捕らえているんです。
彼女曰く 「決定的瞬間をずらす」ことだと。

どいういうことかと言うと、
人にカメラを向けた時、向けられた人は身構えると言うんです。
表情をつくってしまうという感じでしょうか。 それを決定的瞬間をずらすことによって、
人が「身構える前」の自然な表情が撮れる。
笑顔なり、考え込んだ表情なり、振り返った顔なり。
それはどの写真を見ても、文字通り、 その瞬間を切り取った人たちなのでした。
で、ここはF40。
この概念ってすれば、特に演技に生かせると思うわけです。
監督の演出術でもいいと思います。
要は、役者は演じようと意識すると、わざとらしく見えてします。
それで意識の置き所として、「決定的瞬間をずらす」的なポジションで臨む。
気負わない。 そうすることで、演技自体が自然に見えてくる。
実際に現場では、スタッフの方が沢山いてワサワサしています。
そんな中で緊張するな、という方が難しいことです。
でも、役者だったらそんな中でもやらなきゃいけない。
私の経験でも、なぜか緊張してしまったことがあって、
その時、裸の上にピンマイクを着けていたものだから、
音響さんに「ドキドキが聞こえるよ」と言われてしまったことがあります。
なので、気負わない。やろうとしない。
「勝つと思うな 思えば負けよ」(『柔』美空ひばり) これは本当だと思います。スポーツだけでなく、
オーディションやこういった現場でも同じだと思うわけです。
Have a wonderful day!