今日はですね、監督の現場での演出についてです。
先に結論を言うと、 基本的には役者に繰り返してもらわないと困るんです。
というのは、
まず、二人の役者(AとB)が向かい合って対話するシーンがあるとします。
通常の撮影ですと(一台のカメラで撮る場合)、
① ワイドショット(ロングショット):二人を横から撮る(全体)
②Aのクローズアップ(Bの背中から):オーバー・ザ・ショルダー・ショット
③Bのクローズアップ(Aの背中から):オーバー・ザ・ショルダー・ショット
とやっていきます。
この時、重要なことは、
役者は毎回、同じ演技を要求されるということです。
それは、3方向の画をつなげた時に、一連の動きに見えないからです。
なので、監督はこの点を役者に強調しなければなりません。
(結構、バラバラな演技を持ってくる役者がいます)
このように役者は、タイトルにもある通り、繰り返しが要求されるわけです。

ここで、タイトルに「否か?」としたのは、
違う演出方法もあることをお伝えするためです。
そのやり方とは、
最初から画角(絵コンテ)を決め込んで、
その角度からだけの画を撮る、というものです。
言い換えると、役者は何度も繰り返えすのは同じですが、
違うバージョンをやるよう、言われます。
この方法のいいところは、
監督が現場で、俳優の演技力を最大限にまで引き上げ、
かつ、幾度かやらせることで、
より良い画が撮れるということです。
あのクリント・イーストウッドは、
最初から画を決め込んでから役者にやらせ、
それが良かったらすぐ次のシーンに行ってしまいます。
「セブン」のデビット・フィンチャーは、
納得がいくまで何回も同じシーンをやらせます。
そのリテイクの数はものすごいそうです。
役者がつくりあげた演技ではなくて、
本当の役の自分が絞りだされたところで
「カット」と声がかかるのでしょう。
ただ、このやり方の欠点は、
あまり演技の出来を追及した場合、
時間が無くなってしまうことです。
予算と時間がないと難しそうですね。
また、監督も確固たる画のイメージがないと
上手く現場で進ませることが出来ません。
といった具合に、
監督と役者は芸術家同士、 行ったり来たり、
お互いの化学反応がおきるまでやり合える環境にあると、
いい画が撮れることにつながると思うわけです。