今日はですね、ライティング(照明)についてお話します。
のっけから「影を殺す」ってどういうことでしょうか?
物体がない影を殺せるわけない。
最初からこの文が意味をなさない。
影をどうやって殺すの?
など。いろんな声が聞こえてきそうですが、、。
まず、撮影現場ではどういう状況かというと、
役者さんが壁際に立ったとします。
そこにライトを左右からあてるとします。
すると、役者さんの後ろの壁に不自然な影が出来てしまいます。 ライトが左右からあたっているので、
壁にクロスした二つの影ができてしまうのです。
そして、この不自然な影をなくすことを、
「殺す」と言ったりします。
(業界用語ではありませんが。日本では言うのかな) この消し方はいろいろあって、
単純に片方のライトを弱めてみるとか、
役者の立ち位置を変えてみるとか、
バックライト(後方からのライト)あてるとか、 考えられます。
意外と重要なことですが、
現場でも不自然な影ができたまま、
撮影が進んでしまうことがあります。
気を付けたいものですね。

さて、ここで、三つの基本ライトをお伝えします。
Key Light (キーライト)役者の斜め45度からあてるメインのライト
Fill Light (フィルライト)キーライトの反対側に位置する斜め45度からあてるサブのライト(弱め)
Backlight (バックライト)背後からあてる弱めのライト。肩や輪郭を際立たせる。
この概念だけを知っているだけでも大きいです。
この影の役割は、映像の世界では非常に重要です。
影だけで人間の感情を表現できたりもします。
私が印象に残っている作品は、
(残念ながら作品の名前は覚えていないんですが)
白黒の映画で、
家の外は雨が降っています。
その雨はガラス窓にあたっては流れ落ちています。
家の中のその男は何か悩んでいる様子。
でも暗いのでよく表情が見えません。
ですが、カメラは、 その男の顔に、
雨がガラス窓に当たって流れ落ちる水の影を 撮らえていくのです。
男の顔は、表情は見えないのですが、
窓に流れ落ちる雨の影が男の顔に重なり、
まるでその男が泣いているように見えるのです。
ちょっとすごい演出でした。 と、いらない影は殺しますが、 生かせる影も多いということです。 みなさん、影さんを除け者にしないでくださいね。